2007年09月14日

第十六夜 路地裏の鶴



僕が物心ついた頃に流行っていた映画のジャンルにニューシネマがあります。往年のハリウッド映画が持っていた「観客に夢と希望を与えるハッピーエンド志向」に対して、反体制的な人物が刹那的なことに命をかけたり、体制に戦いを挑んだりして、最後には体制につぶされてしまうようなアンチハッピーエンドが特徴です。
Ex:俺たちに明日はない/明日に向かって撃て/真夜中のカウボーイ/スケアクロウ等

麻薬の仲介で結構な金が手に入ったことからスーパーバイク(ハーレーダビットソン)にまたがって、気ままな旅に出る映画「イージーライダー」はニューシネマの代表作のひとつです。ピーターフォンダがキャプテンアメリカという人物を演じていました。ほかには相棒にデニスホッパー、飲んだくれの弁護士をジャックニコルソンがやっていました。全篇に流れる音楽もかっこよくて、ステッペンウルフのBorn to be Wild(ワイルドで行こう)などは今も頭の中で鳴っていることがあります。ベトナム戦争の泥沼化やヒッピー文化全盛という時代背景があります。
キャプテンアメリカが着ていた星条旗をバックプリントしたジャンパーやプルバックハンドルのハーレーがかっこよくて、映画のポスターを部屋の中に飾っていました。今でもハーレーと川崎GPZ900Ninjya(トップガンでトムクルーズが乗っていたバイク)はリタイアしたら乗りたいと思うことがあります。

映画「イージーライダー」詳細:
http://www.axn.co.jp/movie/easyrider.html


ハーレーに乗り、ロックバンドも組んでいる板前さんがやっている日本料理のお店が南京町の路地にあります。お店の名は『鶴のひとこえ』。


写真:『鶴のひとこえ』外観

平成19年春から南京町西門入ってすぐ右の路地に引っ越しましたが、その前は南京町広場からひとつ西の路地にありました。前の店は細長いカウンターと、奥に6人がけくらいのテーブル席がありました。カウンターの内側の調理スペースは玄関脇から立ち上がっている昔の階段がカウンターの内側を斜めに通っていました。それでカウンター内で左側に寄って調理するときは階段に頭が当たらないように首が右に傾いていくことになります。マスターの鶴田君が首を右に傾げてちょっと窮屈そうにジャガイモなんかを剥いていましたが、それはそれでなかなか記憶に残るシーンでした。

引越し先の現在のお店は、一転してシャープなイメージでお店の感じも少しアップグレードになりました。前よりもちょっとかっこいいお客さんで賑わっているように思います。

作務衣姿のマスター鶴田君に、これまた和風スタイルが艶っぽくて愛想のいい仲居さんが奥さんの真理さんです。沖縄出身の板前さんの當眞(とうま)さんは、まさに「オキナワから来ました」という感じで、穏やかな南の海の風情があります。
お店が忙しいときなどは、民謡のお師匠さんをされているマスターのパパさんや近くで『ワンボイス(・・・要は「ひとこえ」)』というスナックをされているママさんら総出でお手伝いに来られています。みなさん人当たりの柔らかい人たちばかりです。
僕は鶴田君の素材に向き合う時の真剣で鋭い目つきが気に入っていますが・・・。
(僕は男を好む趣味はありません・・・・念のため)。

 素材は新鮮。マグロ入りのコロッケなどアイデアの品もあり、しかも僕の好きな焼酎「甕雫(かめしずく)」もあります。なかでもお薦めはサツマイモのケンピです。揚げたてのケンピにちょうどいい感じの塩味が絶妙です。
朝日新聞の某敏腕記者はこの「ケンピ」を最後のひとつまみまで「うまい!」と言って食べ続けておられました。是非お試しあれ。
  


Posted by alterna at 15:10Comments(2)