2008年03月06日

第三十四夜 「神戸ジャズCITY」

第三十四夜 「神戸ジャズCITY」
写真:北野の風見鶏の館前の彫刻「プリーズリクエスト」で通称ジャズおじさん。
この作品は隣りに人が座っておじさんにリクエストすることで完成します


ジャズの故郷はアメリカ、ルイジアナ州、ミシシッピ川下流の港町ニューオーリンズであることはよく知られています。2005年の夏から秋にかけて、大型ハリケーンがこの街を襲い、街のほとんどが水浸しになるなどの甚大な被害をもたらしましたが、このときにも多くのジャズメンたちがチャリティライブを行なったりして、被災地ニューオーリンズ救済のために立ち上がりました。神戸でも小曽根実さんたちによってチャリティコンサートがされていました。

このジャズですが、奴隷としてつれてこられたアフリカの原住民たちが故郷を思い、また辛い労働の疲れを癒すために演奏していた故里の歌や叩いていたドラムなどが源流にあるようです。それらが、ヨーロッパ音楽(楽器や歌)と出会うなかから、アフリカのリズムや訛りが融合していってジャズの形態が整っていったようです。1900年前後のことです。
当時ニューオーリンズは奴隷取引の国際港として、また、タバコや綿花を輸出する国際港として賑わっていました。

このニューオーリンズで生まれたジャズはミシシッピ川を北上していきます。メンフィス、セントルイス、そしてシカゴへ。

1917年には白人たちによる「オリジナル・デキシーランド・ジャズ・バンド」によってニューヨークでジャズのレコーディングが初めてされました。これ以後白人たちによるニューオーリンズ・ジャズ(もっとも初期のジャズでマーチのリズムにのって、ピアノ、ドラムとともにトランペットなどで即興演奏される)はデキシーランドジャズと呼ばれるようになったようです(デキシーランドとはアメリカ南部諸州を指す名称です)。

アメリカで生まれたジャズは次第にヨーロッパでも演奏されるようになり、イギリス、フランス、オランダなどでジャズバンドが作られていきます。
日本の明治維新、そして開港は西洋文化の流入を招きましたが、ジャズもそのひとつです。横浜や神戸は国際港として早くからジャズが入ってきたと思います。ではどちらが先か?。音ですからこれについては決め手はないようです。
何で読んだのか、誰から聞いたのか忘れましたが、横浜はアメリカ航路、神戸はヨーロッパ航路~香港など東南アジア経由~で入港する船が多かったようです。はじめてジャズを演奏したのはアメリカの音楽隊だったようですので横浜の方が早かったのかもしれません。

しかし、日本最初のジャズバンドは神戸で結成されています。「井田一郎とラッフィングスターズ」が結成され、プロのジャズバンドによって初めてジャズが演奏されたのが、大正12(1923)年4月のことでした。
 東京浅草生まれの井田は大正10年に宝塚少女歌劇団のオーケストラの一員になり、神戸でダンスパーティなどにも出演していましたが、大正12年にプロのジャズバンドを結成したのです。このラッフィングスターズは5ヶ月で解散しましたが、大正14年には井田を中心に大阪で「チェリーランド・ダンス・オーケストラ」が結成され、多くの名プレーヤーを輩出しました。

 その後ジャズは東京をはじめ日本各地で演奏されていきます。
 ただ、日本のジャズは神戸で第一歩を踏み出しており、ジャズは神戸で生まれ、大阪で育ち、日本全国に広がっていった(花開いた)と言うこともできます。その意味で神戸は「日本のジャズ発祥の地」といっていいと思います。

第三十四夜 「神戸ジャズCITY」
写真:風見鶏の館とジャズおじさん。

第三十四夜 「神戸ジャズCITY」
写真:北野坂のジャズおじさんのすぐ近くにあるトランペットを吹いている作品

昭和30年代、神戸の三宮や新開地のジャズ喫茶などではジャズ演奏が盛んでした。ジャズバンド「デキシーランド・ハートウォーマー」を率いた右近雅夫は関西のジャズシーンに大きな影響をあたえたミュージシャンですが、今日でも神戸がデキシーランド・ジャズのメッカと呼ばれるのもその存在が大きいといわれています。

 また、「ライブハウスをハシゴしながら、また、ストリートを歩きながら気軽にジャズを楽しむ」というスタイルの「神戸ジャズストリート」は昭和56年(1981)のポートピア博覧会をきっかけにして生まれましたが、今では全国的に知られています。プロもアマチュアも一緒になってステージで演奏し、聴衆も参加して盛り上がります。
 神戸ジャズの特長は、椅子に座って静かに聴くというよりも、聴衆とステージが一緒になって盛り上がることにあるといわれています。これを支えているのは幅広いアマチュアのジャズ愛好家たちです。
 
 日本のジャズ発祥から80年目を迎えた2003年(平成15年)にはジャズミュージシャン、ライブハウス、教育関係者など神戸ジャズを愛するメンバーが集まって、神戸ジャズCITY委員会を結成し、ジャズマップやジャズウォークなどのイベントを手作りで行なっています。
神戸ではジャズを活かして色々なシーンが創られていく土壌があるようです。

第三十四夜 「神戸ジャズCITY」
写真:北野坂にあるジャズストリートのプレート

ジャズCITY委員会のホームページはこちらです。
http://www.kobejazzcity.com
ライブハウスのホームページにもリンクしており、その日のライブなどをチェックできますよ。



Posted by alterna at 21:33│Comments(0)
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