2008年08月22日

第四十五夜 JAVA(ジャヴァ)

- 神戸ジャズCITY (6) -

このブログを書き始めた最初の頃、テーマのひとつに「音を売る店」・・・よい音が売り物のお店を考えていました。結局は「神戸ジャズCITY」「港街・BAR・アート」の二つのテーマのなかで音が心地よいお店も紹介してきました。

 「音を売る店」で想定していたお店のひとつに『JAVA(ジャヴァ)』さんがあります。「懐かしい音のお店」と言った方がよいかもしれません。
阪急三ノ宮西口を出て、JR高架下の北側を東へ少し歩いたところです(北長狭通1丁目31-13)。営業は昭和28年(1953年)開始ということですから、このブログを読まれている若い人たちのお父さんやお母さん、ひょっとしたらお爺ちゃんたちが行っていたお店かもしれません。マスターは2代目の林さんです。

第四十五夜 JAVA(ジャヴァ)
写真:JAVA(ジャヴァ)の看板


話しは全く変りますが、僕は中学時代(昭和50年頃)にバスケットボールをやっていました。体育館といっても講堂で、バスケットのコートをようやく一面取れる程度の広さしかなく、しかも卓球部との共同使用ということでしたから、半面しかとれませんでした。
 記憶だけですが、一度新聞に載ったことがあります。僕たちのチームではなく「講堂の床の硬さが半端ではない」という記事でした。長方形の板を4枚くらいくっつけて、正方形のブロックを作り、コンクリートの床にじかに格子状にはめ込んであるのです。そのためかボールがむちゃくちゃ弾んでしまいます。他校との練習試合に行くと普通の床ですので、いつもよりボールが弾みません。空気が減っているボールを使っているのではないか・・・などと思っていましたが、それが普通の体育館の床だということがわかるのは随分と時間がたってからでした。その後まともな体育館ができて、フツーの床のうえで練習できるようになりました・・・・。
 実は「ジャヴァ」さんの床も板を正方形に加工して格子状にはめこんであるもので、僕が中学時代にボールがよく跳ねる床と格闘していた頃の、あの「床」と同じつくりのものです。コーヒーを飲みながら、懐かしい床を見つけて、懐かしい時代を思い出していました。

第四十五夜 JAVA(ジャヴァ)
写真:JAVAの店内


「ジャヴァ」さんでは、店の奥の暗がり(お店の奥は半地下と中二階になっていてスピーカーは中二階の奥に設置してあります)に大きなスピーカーが設置してあって、高架を通過する電車のゴーガタゴトという音にも負けずに、雰囲気にマッチした音を響かせています。聞けばこのスピーカー「JBLオリンパス」という機種とのことで「当時これを購入しようとすれば家一軒建つくらいの金額だった」と音に詳しい筋の方からは伺いました。
店内にはこじんまりとしたテーブルが二つ組み合わせてあって、小ぶりの椅子が4つずつ配置してあります。椅子もテーブルもまさに昭和レトロ。聞けば、神戸の老舗家具屋さんから仕入れた神戸家具ということです(神戸家具は西洋家具の造形と神戸の船大工の技術が出会って生まれたものです。西洋家具を船大工さんが修理したりする過程で徐々に自分達で製作するようになっていったものと聞きました。和風化された西洋家具とでもいうべきもので、現在も製造されています)。JAVAさんのテーブルや椅子は神戸家具では『JAVAスタイル』と呼ばれているようです。
壁にはジャズのポスターやお店に来られた芸能人たちの記事などが貼ってあります。時間が長いこと足踏みしているような空間で、薄暗い室内にジャズの響きとともに古きよき昭和が漂っています。
マスターいわく「震災前はもっと暗い店内でした。震災後は壁も少し明るく塗り替えリフレッシュしました。」ということです。

第四十五夜 JAVA(ジャヴァ)
写真:JAVA壁に貼られた記事やポスター

第四十五夜 JAVA(ジャヴァ)
写真:中二階奥のスピーカーからジャズが流れる


 僕は昼間、三ノ宮で時間を調整するときは、だいたいここで止まった時間を味わうようにしています。冬には石油ストーブなども焚かれています。
長い時間いても「出て行って」という雰囲気ではありません。僕が生まれた頃にも古い恋愛映画のシーンのように、多くのカップルがここで待ち合わせをしたんだろうなと思いながら、コーヒーを飲むのもなかなかいいものです。




Posted by alterna at 18:28│Comments(0)
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