2009年08月11日

三宮~北野界隈編:路地に潜むロジックとマジック -その2-

北向地蔵尊から飲食店の並ぶ路地を西へ、神戸で最大の歓楽街東門筋に突き当たり、そして生田神社へ。「東門筋は生田神社の東にある南北の筋で神社の東門に面していることからこう呼ばれています。」
 「生田神社は2001年に鎮座1800年を迎えた神社です。もともとは布引の砂子山(いさごやま)にあったのですが、洪水で松林ごと流されそうになったことから、ご神体をこの地に移したということです。松林が洪水に役に立たなかったことから、境内には松が一本もありません。正月の飾りも松ではなく杉を盛るようです。
 生田の森は源平の合戦場のひとつです。箙に梅を挿して武運を祈った梶原景季(かげすえ)親子の逸話や、大鳥居のすぐ右にある梶原井(梶原の景季が井戸を覗き込み、自らの姿を映したことから別名「かがみの井」とも呼ばれる)などが伝承されています。昔は生田神社の森にはふくろうが多く住んでいたようですよ。森を再生し、平成13年からは平安の雅を再現した歌詠みの宴「曲水の宴」が毎年春に行われています。」


写真:生田神社鳥居


写真:箙と梶原景季の説明


写真:生田の森


 生田神社の境内を抜け、ハンター坂の入り口へ。
 交差点からすぐ東ににしむら珈琲店があります。神戸でよく知られたお店で、1年間熟成させたコーヒー豆は香りがよく、灘の酒造りに欠かせない宮水が使われています。



写真:にしむら珈琲店


写真:ハンター坂の輸入雑貨の店


 多文化共生の街・神戸を象徴する外国人向けの雑貨屋さんが目を引くハンター坂に入って、一つ目の信号を左に曲がると見えてくるのが、現存するものでは日本最古になるムスリムモスク。実際に建物の前に立つと存在感が際立っており、ここは日本なのか?という感覚になります。「昭和10年の建築で、戦災でも阪神淡路大震災でも倒壊することはありませんでした。使われているガラスなども耐熱性が高いものが使われているようですよ。1階は男性、2階は女性が礼拝する場所になっています。運よく玄関があいているときなどは建物の内部を見せてもらえるときがありますよ」モスクの向かい側にはイスラム圏の食材を扱っているお店があります。


写真:ムスリムモスク


写真:モスク前の雑貨店


ムスリムモスクを通り過ぎると、トアロード(山本通3丁目角)に・・・
(「三宮~北野界隈編:路地に潜むロジックとマジック -その3-」 へつづく)   


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2009年07月27日

三宮~北野界隈編:路地に潜むロジックとマジック -その1-

 神戸の街を歩いた小さな旅を何回かに分けてレポートします。

 街の個性は風土と文化の織り成すその街だけの文様です。神戸らしさは港、街、山とそれらを結ぶ坂道、西国街道などの東西の交通路、そして人と人が出合うなかから創られてきました。神戸の街を愛する観光ガイドさんと一緒に歩き、日常の風景のなかの新しい発見という視点で街をゆっくりと眺めてみました。

今回のガイドをしていただいたのは、観光ガイドボランティアの森山さん。
6月27日午前10時、約束したJR三宮駅中央出口山側へ。ブルーのポロシャツに黄色い帽子が目印と伺っていましたので、すぐにわかりました。



「おはようございます。今日はお世話になります。よろしくお願いします」
「はい。こちらこそよろしくお願いします。」
早速、どのようなコースを通るのかを話し合い、ホームページなどのお勧め定番コースではなく「路地を探検」しようということになりました。大まかなコースを決めて「さあ出発」。

 JRの高架下に沿って横断歩道を渡ると、阪急三宮駅の入っている交通センタービル。そこを山側(神戸では北側に六甲山があり、南側に神戸港があるので、北を「山側」、南を「海側」と表現することがよくあります)に曲がるとすぐ凸凹の広場があります。「ここは凸凹広場と言われていますが、神戸の彫刻家新谷琇紀さんの彫刻『アモーレ』が設置されてからは『サン北アモーレ広場』と命名されたようです。若い子たちが集まる場所で休みの日にはロックバンドなどがよく演奏しています。若い子達は見た目そのままの『凸凹広場』と呼んでいるようですよ」
 凸凹広場を横切ると通りの向かいにベネトンのビルがあり、ここからが「北野坂」の入り口です。


写真:凸凹広場の向こうにベネトンビル


写真:北野坂入り口


写真:北野坂


北野坂を上り始めるとすぐ坂の左側歩道に石柱があります。兔原(うはら)・八部(やたべ)両郡界の碑です。「もともとはすぐ東を流れていた生田川の堤防にあったもので、いつの頃からかここに移設されたようです」
 石碑のすぐ角に「北向地蔵尊」があります。「文字通り北向きに設置されているもので、氾濫しそうになった生田川の堤防が決壊寸前のところで、大きな石が塞いで助かったことがあり、その石の流れ着いた前にあったお地蔵さんです。そのときと同じように北向きに安置されています。」


写真:郡界の碑


写真:北向地蔵


写真:東門筋


北向地蔵尊から飲食店の並ぶ路地を西へ、神戸で最大の歓楽街東門筋に突き当たり、そして・・・
(「三宮~北野界隈編:路地に潜むロジックとマジック -その2-」 へつづく)  


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2009年06月24日

第六十一夜  穴門商店街探検


写真:喫茶「EVIAN」

元町穴門商店街の真ん中程に小さな交差点があり、その南東角が昭和27年(1952年)にオープンした老舗喫茶店「エビアン」さんで、自家焙煎の味が守り続けられています。
ある人曰く「エビアンは味が変わらないからいい」
コーヒーの味はよく分かりませんが、いくぶんすっぱい感じがしたのを覚えています。
神戸の人は「コーヒー」ではなく「コーヒ」と発音する年配の人が多いように感じますが、気のせいでしょうか?「屋」をつけるからなのか、聞こえ方として「コーヒー屋行こう」ではなく「コーヒ屋行こう」と言っている人が多いように思います。




写真:ジャズ喫茶「Jam Jam」

この喫茶エビアンの東側ビル地下にジャズ喫茶「JAM JAM」があります。
 喫茶店はテーブルに向かい合わせに座ってお茶を飲むのが普通ですが、ここでは映画館のように音が出てくる方に向かって座り、音楽を聴くというスタイルです。部屋の奥には大きなスピーカーが鎮座していて、暗がりからはパチパチというレコード独特の音とともに分厚い音が響いています。
 地下ガレージのような空間に、夏ならひんやりと冷房が、冬ならほんのりと暖房が効いていて、休みの日の午後にうたた寝しながら音楽を聴くのに丁度いい具合です。薄暗い洞窟でジャズを聴くという雰囲気です。
  


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