2007年12月25日

第二十九夜 「港町・BAR・アート(1)」

第二十九夜 「港町・BAR・アート(1)」
大丸神戸店北西入り口を出て、鯉川筋を山側に登ってすぐの路地を右に曲がったところに「蛸の壺」という明石焼屋さんがあります。眼鏡をかけた人の顔をした蛸が真っ赤に彩られてショップカードに描かれています。明石焼だけでなく蛸料理をはじめ、一品料理なども豊富です。お店の真ん中に陣取る大きな一枚板のテーブルが迫力満点です。(蛸の壺:三ノ宮町3丁目3-3)

第二十九夜 「港町・BAR・アート(1)」

 聞くところによると「蛸の壺」は文化人・芸術家の溜まり場だったようです。今もそんな風情のある人を見かけます。
 何気に壁を見回すと、インディオの絵とセントバーナード犬らしき絵がかけてありました。おそらく鴨居玲さんの作品だろうと思って、店の方に聞くとやはりそうでした。鴨居玲さんはスペインの街や村を放浪して絵を描き続けた人です。特に酔っ払いやおばあさんの絵は強烈なインパクトがあります。神戸を拠点にして活動した画家で、とにかくハンサムな方だったと聞きました。

モダニズム文化と六甲山に反射した北側からの豊富な光が神戸に洋画家を育てたと聞いたことがあります。かつて具象作家の登竜門で、洋画界の直木賞と言われた「安井賞」を受賞した作家が4人も神戸から出ています。鴨居玲さんもそのひとりです。
(ほかには中西勝、西村功、堀江優の各氏。おもしろいことに4人とも漢字3文字で、しかも名前は漢字1文字です)。
 1990年にさんちか開店25周年記念の「神戸の誇る安井賞受賞作家 4人展」がさんちかホールで開催されたときに初めて鴨居玲さんの作品を見ましたが、このときのインパクトが洋画に少し興味をもつきっかけとなりました。
 
 三宮センター街2丁目の眼鏡店「マイスター大学堂」には鴨居さんの絵や使用されていたパレットが、デザイナーだった姉の鴨居洋子さんの絵とともに飾られています。
 パレットは絵の具が盛り上がり、それ自体が現代アート的なひとつの作品のように思えます。
 
鴨居玲さんは1985年に57歳で急逝されています。
まだまだ若い57歳の天寿でした。
神戸に居ながらお会いできなかったのが今も残念です。




Posted by alterna at 10:28│Comments(0)
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