2008年07月30日
第四十四夜 バー『ハッピー・ジャック』
~港町・バー・アート(7)~
『THE WHO』
この文字を見たときに、LPアルバム「四重人格」、ロックオペラ☆映画「トミー」そしてボーカルの「ロジャー・ダルトリー」等々と連想される人がいたら、年齢は50前後で10代の頃ロックにはまっていた人だと思います。おそらくほとんどが男性・・・・。
もし、今の20代や30代で知ってる人がいたらなかなかの通です。ブリテッシュロックをさかのぼり、レッドツェッペリンやビートルズに行き着く過程でチェックできるかどうかです。日本では余り知られていませんでしたが、どことなくビートルズの時代を感じる音楽で、懐かしい響きです。
僕はビートルズ、レッドツェッペリン、デープパープル、ボストン、エアロスミスなどを聴いていましたが、この「ザ・フー」やちょっとマイナーですがイアン・ハンター率いる「モット・ザ・フープル」、アメリカンロックの「グランド・ファンク・レイルロード」なども好きでした。

写真:『ハッピー・ジャック』の看板
神戸駅から元町駅そして三ノ宮へJRの高架が続いています。この高架下の山側の暗がりを神戸駅から元町方面に少し歩くと、『ハッピー・ジャック』(フーの曲名です)というバーがあります(元町高架通3-314北側2階)。鉄製の階段を2階に上がるとユニオンジャックが一面に描かれた派手なドアが迎えてくれます。ドアを開けたら別世界。壁一面にロックに関するシールやポスターなどが貼ってあって、若い子たちが集まっています。このお店の雰囲気づくりの基本に『THE WHO』の世界があるようです。マスターは若く見えますが、意外に僕と同年代の竹本さんと西川さんのお二人で経営されています。壁一面に貼られた規則性があるようでないような切抜きやポスターの数々は「自分たちが好きなものを貼っていった結果」ということのようです。
高架下の2階にありますので、電車が通るたびに「ゴー」という音が響き渡ります。それがまたお店の雰囲気とロックに妙に合っています。

写真:壁一面に貼られた切抜きやポスター
今回『ハッピー・ジャック』(実は最近までお店の名前を「THE WHO」と言うのだと勘違いしてました)を紹介しようと思って数十年ぶりにフーのCDを聴いてみたところ、懐かしい響きで、しかも当時としては演奏レベルも高くて、そのよさを再認識しました。こうなると性格的に一人でハマっていきます・・・・欠点はすぐ冷めることですが・・・。

写真:お店の風景
☆バー「チャーリー・ブラウン」のマスター玉置さんと
「最近フーが気に入っちゃいました。神戸駅の近くにフーというバーあるでしょう」
「それハッピー・ジャックですよ。それと今年フーが来日するようですよ」
「えっ、来るんですか?」
「新聞に載ってました。生き残っている二人を中心にメンバーを組むようです」

写真:お店の風景
☆ジャズ喫茶「ジャスト・イン・タイム」でウィルス学の権威である奴久妻ドクター(奴久妻先生はジャズと阪神タイガースがあるからと言って神戸に居続けている貴重な方です)と
「先生などは10代は勉強ばかりでロックなど聴かれなかったでしょうね」
「ロック結構聴きましたよ」
「THE WHOなんかご存知ですか?」
「懐かしいなあ。九州の実家にはLPレコードが数枚あります。ビデオもあると思うからまた持ってきてあげますよ」
「ほんまれすか!!」
「当時ビートルズは世界で売れているのにどうしてフーはイギリス以外で売れないのか?といった意地悪な質問に、ギターのピート・タウンゼントが『演奏内容を聴き比べてくれ』といったとか。わかりやすさやプロモーション戦略の差が出たんでしょうね」
「確かにフーの歌詞はわかりにくいかもしれませんね」

写真:お店の風景
☆レストラン・バー「RINGO(リンゴ)」のマスター・ジョージさんと
「ジャージさん、WHOにはまっちゃいました」
「『さらば青春の光』ありますから、今からかけましょう」
「モッズ映画ですね。なつかしいなあ。1979年だから学生時代です。そういえば軍用コートが流行ってましたわ。音楽は全部フーですか?」
「フーはもともとモッズバンドですよ。『さらば青春の光』はフーのアルバム『四重人格』を映画化したものです。スリムなスーツにフード付きの大きな軍用コートをはおり、バックミラーが一杯付いたベスパに乗る・・というのがモッズファッションの特徴ですね」
「なんで30前半のあんたがそこまで知っとるの???」
「今度日本公演やりますよ。ドラムのキース・ムーンもベースのジョン・エントウィッスルも亡くなったけど、今回のドラムはビートルズのリンゴ・スターの息子です。若手ではピカイチの一人ですよ」
「あんた・・すごいのね!」
はっきり言って、にわかハマリの僕と違い、世間の達人達は奥が深い。それでも10代の頃のバンドが若い子たちに支持されたり、再結成して日本に来るということはなんとなく心地いいものです。

写真:『ハッピー・ジャック』の看板2
少し長くなりましたがバー『ハッピー・ジャック』に行ってみてください。
「さらば青春の光」の主人公ジミーの部屋のような空間が広がっているCOOLなバーですよ。
『THE WHO』
この文字を見たときに、LPアルバム「四重人格」、ロックオペラ☆映画「トミー」そしてボーカルの「ロジャー・ダルトリー」等々と連想される人がいたら、年齢は50前後で10代の頃ロックにはまっていた人だと思います。おそらくほとんどが男性・・・・。
もし、今の20代や30代で知ってる人がいたらなかなかの通です。ブリテッシュロックをさかのぼり、レッドツェッペリンやビートルズに行き着く過程でチェックできるかどうかです。日本では余り知られていませんでしたが、どことなくビートルズの時代を感じる音楽で、懐かしい響きです。
僕はビートルズ、レッドツェッペリン、デープパープル、ボストン、エアロスミスなどを聴いていましたが、この「ザ・フー」やちょっとマイナーですがイアン・ハンター率いる「モット・ザ・フープル」、アメリカンロックの「グランド・ファンク・レイルロード」なども好きでした。

写真:『ハッピー・ジャック』の看板
神戸駅から元町駅そして三ノ宮へJRの高架が続いています。この高架下の山側の暗がりを神戸駅から元町方面に少し歩くと、『ハッピー・ジャック』(フーの曲名です)というバーがあります(元町高架通3-314北側2階)。鉄製の階段を2階に上がるとユニオンジャックが一面に描かれた派手なドアが迎えてくれます。ドアを開けたら別世界。壁一面にロックに関するシールやポスターなどが貼ってあって、若い子たちが集まっています。このお店の雰囲気づくりの基本に『THE WHO』の世界があるようです。マスターは若く見えますが、意外に僕と同年代の竹本さんと西川さんのお二人で経営されています。壁一面に貼られた規則性があるようでないような切抜きやポスターの数々は「自分たちが好きなものを貼っていった結果」ということのようです。
高架下の2階にありますので、電車が通るたびに「ゴー」という音が響き渡ります。それがまたお店の雰囲気とロックに妙に合っています。

写真:壁一面に貼られた切抜きやポスター
今回『ハッピー・ジャック』(実は最近までお店の名前を「THE WHO」と言うのだと勘違いしてました)を紹介しようと思って数十年ぶりにフーのCDを聴いてみたところ、懐かしい響きで、しかも当時としては演奏レベルも高くて、そのよさを再認識しました。こうなると性格的に一人でハマっていきます・・・・欠点はすぐ冷めることですが・・・。

写真:お店の風景
☆バー「チャーリー・ブラウン」のマスター玉置さんと
「最近フーが気に入っちゃいました。神戸駅の近くにフーというバーあるでしょう」
「それハッピー・ジャックですよ。それと今年フーが来日するようですよ」
「えっ、来るんですか?」
「新聞に載ってました。生き残っている二人を中心にメンバーを組むようです」

写真:お店の風景
☆ジャズ喫茶「ジャスト・イン・タイム」でウィルス学の権威である奴久妻ドクター(奴久妻先生はジャズと阪神タイガースがあるからと言って神戸に居続けている貴重な方です)と
「先生などは10代は勉強ばかりでロックなど聴かれなかったでしょうね」
「ロック結構聴きましたよ」
「THE WHOなんかご存知ですか?」
「懐かしいなあ。九州の実家にはLPレコードが数枚あります。ビデオもあると思うからまた持ってきてあげますよ」
「ほんまれすか!!」
「当時ビートルズは世界で売れているのにどうしてフーはイギリス以外で売れないのか?といった意地悪な質問に、ギターのピート・タウンゼントが『演奏内容を聴き比べてくれ』といったとか。わかりやすさやプロモーション戦略の差が出たんでしょうね」
「確かにフーの歌詞はわかりにくいかもしれませんね」

写真:お店の風景
☆レストラン・バー「RINGO(リンゴ)」のマスター・ジョージさんと
「ジャージさん、WHOにはまっちゃいました」
「『さらば青春の光』ありますから、今からかけましょう」
「モッズ映画ですね。なつかしいなあ。1979年だから学生時代です。そういえば軍用コートが流行ってましたわ。音楽は全部フーですか?」
「フーはもともとモッズバンドですよ。『さらば青春の光』はフーのアルバム『四重人格』を映画化したものです。スリムなスーツにフード付きの大きな軍用コートをはおり、バックミラーが一杯付いたベスパに乗る・・というのがモッズファッションの特徴ですね」
「なんで30前半のあんたがそこまで知っとるの???」
「今度日本公演やりますよ。ドラムのキース・ムーンもベースのジョン・エントウィッスルも亡くなったけど、今回のドラムはビートルズのリンゴ・スターの息子です。若手ではピカイチの一人ですよ」
「あんた・・すごいのね!」
はっきり言って、にわかハマリの僕と違い、世間の達人達は奥が深い。それでも10代の頃のバンドが若い子たちに支持されたり、再結成して日本に来るということはなんとなく心地いいものです。

写真:『ハッピー・ジャック』の看板2
少し長くなりましたがバー『ハッピー・ジャック』に行ってみてください。
「さらば青春の光」の主人公ジミーの部屋のような空間が広がっているCOOLなバーですよ。
Posted by alterna at
17:33
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2008年07月17日
第四十三夜 Abuはち ~港町・BAR・アート(6)~
Abuはち・・あぶはち・・・よく知られたことわざ「虻蜂取らず」の『Abu
はち』です。虻も蜂もとろうとしてどちらも手に入らないことで、転じてあれもこれもと狙って結局なにも手に入らないこと、欲張ると失敗することを戒めています。二兎を追うものは一兎も得ずと同趣旨です。
このブログでバーを紹介するときに、副題を「~港町・BAR・アート~」としていますが、これは港町ならではの個性的なバーというのはお店の空間自体がインスタレーション(空間造形)的なアートそのもの、あえて言えば「アートよりもアーティスティック」な空間と思っているからです。
マスターの店づくりの感性、お客の好みとマスターの感性の融合、人の会話が創りだす雰囲気、色々な国のボトル、BGMとして流れる音楽、すべてのものが何十年をかけて創り上げられてきた時間の造形物であり、これからも進化し続け、形や雰囲気を変えていくもので、お店でのひとときは変化のなかの一瞬の出合いなのだと思っています。
今回は『Abuはち』さんを紹介します。
阪神元町駅の西出口のエスカレーターを上がり、南京町方面へ。元町商店街のアーケードの手前にあるビルの壁の一部が古びたレンガ壁になっていて、その壁に「Abuはち」と名前が入った古びたランプがぶら下がっています。そのレンガ壁の右手にあるドアを入ってすぐ左のバーが「Abuはち」です。
お店は1955年開業ということですから半世紀以上の歳月がたっています。神戸出身の切絵作家成田一徹さんの作品で構成された『酒場の絵本』にも紹介されています。

写真:レンガの外壁に架かるランプ
マスターは3代目になる畑中さん。物腰の柔らかい丁寧な方です。
『昭和45年(1970年)に現在のビルに引っ越して来ています。お店の内装などはほとんどその頃のままです。カウンターは外国材ですが分厚い一枚板です。惜しいことに途中でつないでいますが、これは工務店が寸法を間違えたからで、本当は端から端まで一本の木材でつくる予定だったと聞いています。』
『今となってはその物語の方が面白いですよ。壁にある大きな絵は誰のですか?』
『これは写真です。昭和45年の引っ越し祝いに当時の常連さんからいただいたものです。ベルサイユ宮殿と広場の石畳の写真をソラリゼーションという技術を使って仕上げたものと聞きましたよ。』
『そらりぜーしょん??』
『今はあまり使わない技術のようです』
『でもお店の雰囲気とよく合ってますね』

写真:カウンター
僕はこういう老舗バーではマスターのお勧めを注文することにしています。「おいしいバーボンを」といったら出てきたのが「オールド・セント・ニック」というウィスキーで、芳醇で飲みやすいと思います。ボトルも古びていてかっこいいものでした。

写真:オールド・セント・ニックのボトル

写真:昔のコースターとマッチ、現在のコースター
お店の中には馬の蹄鉄や鞍がぶら下がっています。
入り口のすぐ上にぶら下がっていた蹄鉄を指差して
『この蹄鉄は本物ですか?』と聞くと、『名馬ハイセイコーが練習用に使っていたものですよ』と言われました。大きく、丸みがあって、壁飾りとしてなかなかの存在感がありました。
お店に入るだけで数十年のタイムスリップが味わえますよ。

写真:名馬たちの蹄鉄が下がる棚

写真:壁に貼られたボトルのラベル
はち』です。虻も蜂もとろうとしてどちらも手に入らないことで、転じてあれもこれもと狙って結局なにも手に入らないこと、欲張ると失敗することを戒めています。二兎を追うものは一兎も得ずと同趣旨です。
このブログでバーを紹介するときに、副題を「~港町・BAR・アート~」としていますが、これは港町ならではの個性的なバーというのはお店の空間自体がインスタレーション(空間造形)的なアートそのもの、あえて言えば「アートよりもアーティスティック」な空間と思っているからです。
マスターの店づくりの感性、お客の好みとマスターの感性の融合、人の会話が創りだす雰囲気、色々な国のボトル、BGMとして流れる音楽、すべてのものが何十年をかけて創り上げられてきた時間の造形物であり、これからも進化し続け、形や雰囲気を変えていくもので、お店でのひとときは変化のなかの一瞬の出合いなのだと思っています。
今回は『Abuはち』さんを紹介します。
阪神元町駅の西出口のエスカレーターを上がり、南京町方面へ。元町商店街のアーケードの手前にあるビルの壁の一部が古びたレンガ壁になっていて、その壁に「Abuはち」と名前が入った古びたランプがぶら下がっています。そのレンガ壁の右手にあるドアを入ってすぐ左のバーが「Abuはち」です。
お店は1955年開業ということですから半世紀以上の歳月がたっています。神戸出身の切絵作家成田一徹さんの作品で構成された『酒場の絵本』にも紹介されています。

写真:レンガの外壁に架かるランプ
マスターは3代目になる畑中さん。物腰の柔らかい丁寧な方です。
『昭和45年(1970年)に現在のビルに引っ越して来ています。お店の内装などはほとんどその頃のままです。カウンターは外国材ですが分厚い一枚板です。惜しいことに途中でつないでいますが、これは工務店が寸法を間違えたからで、本当は端から端まで一本の木材でつくる予定だったと聞いています。』
『今となってはその物語の方が面白いですよ。壁にある大きな絵は誰のですか?』
『これは写真です。昭和45年の引っ越し祝いに当時の常連さんからいただいたものです。ベルサイユ宮殿と広場の石畳の写真をソラリゼーションという技術を使って仕上げたものと聞きましたよ。』
『そらりぜーしょん??』
『今はあまり使わない技術のようです』
『でもお店の雰囲気とよく合ってますね』

写真:カウンター
僕はこういう老舗バーではマスターのお勧めを注文することにしています。「おいしいバーボンを」といったら出てきたのが「オールド・セント・ニック」というウィスキーで、芳醇で飲みやすいと思います。ボトルも古びていてかっこいいものでした。

写真:オールド・セント・ニックのボトル

写真:昔のコースターとマッチ、現在のコースター
お店の中には馬の蹄鉄や鞍がぶら下がっています。
入り口のすぐ上にぶら下がっていた蹄鉄を指差して
『この蹄鉄は本物ですか?』と聞くと、『名馬ハイセイコーが練習用に使っていたものですよ』と言われました。大きく、丸みがあって、壁飾りとしてなかなかの存在感がありました。
お店に入るだけで数十年のタイムスリップが味わえますよ。

写真:名馬たちの蹄鉄が下がる棚

写真:壁に貼られたボトルのラベル
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09:50
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2008年07月02日
第四十二夜 「3D」という隠れ家バー
~港町・バー・アート(5)~
「トアロードでは食べ物屋は美味しくないとはやらない」
これはある雑誌の編集者の言葉です。三ノ宮の中心から少し離れたところに位置するからでしょうか?
確かに味と個性のお店が多いように思います。
「トアロード」・・・この名前の由来は諸説あるようですが、トアロードを上りきったところにあった東亜(トーア)ホテルに由来するというのが有力な説のようです(弓倉恒男著「神戸トアロード物語」より)。
トアロードに半世紀以上住んでおられる方は「バカもん!トアホテルからに間違いない!!!」と断言されました。
とても神戸らしい名前だと思います。
大正から昭和にかけて活躍した作家稲垣足穂(いながき たるほ)は、由来がはっきりしないこの路について「・・(トアロードという)名前をつけた彼はとてもよい感覚の持主であったことを想像させる」(緑の蔭―英国的断片「タルホ神戸年代記」より)と記しています。ここでいう「彼」が誰なのか、誰にもわからないのがまたなんともいいですね。たぶん特定の誰でもない、この坂を行きかった人たちなのでしょう。
(因みに稲垣足穂の代表作は「1千一秒物語」という作品のようです。このブログは「千話一夜物語」です。「千」と「1秒」か、「千」と「一夜」か、なんとなく近い感じがしますが、実は足穂先生をよく知りません。)
トアロードは北野町に住んだ外国人が旧居留地のオフィスに通った通勤路で、パン屋、洋服の仕立て屋など、西洋の生活文化がいち早く日本で根付いた場所です。
昔の神戸のお洒落はオートクチュールだったと聞きました。ネクタイ、背広、シャツ、靴などそれぞれの専門店で自分流にそろえることで、感性が磨かれていったようです。トアロードは神戸のお洒落を発信した場所のひとつで、「マキシン」など全国的に知られた老舗帽子屋さんが今も営業されています。
前にも書きましたが、華僑の人たちにとっては三刃(サンパ)といって、三つの刃(包丁=中華料理、ハサミ=仕立て屋、カミソリ=床屋)のどれかを身に着ければ食べて行くことができる、という伝説が生まれた場所でもあると聞きました。

写真:青柳ビル入り口の目立たない看板
個人的なことながらトアロード周辺で飲み会があると2軒目は『木馬』でバナナジュースを飲むか、BAR『3D(スリーディ)』でもう少しアルコールを補給するかが自分流のコースになっています。

写真:バー3D 青柳ビル入り口
3Dのマスター小川さんは以前紹介したバー「DEEP」のオーナーだった方です。工事現場のような薄暗く細い通路の向うに桃色の霧がたちこめたクールな空間を演出した人のことだけあって、3Dもなかなか非日常の空間です。古いビルの2階にあるのですが、お店の看板は目立たないように入り口の端っこにあります。階段を上って行くと迷路というか、無機質な通路が無性に長く感じられて、この奥にお店があるのかどうか少し不安になります。

写真:路地から怪しい窓を見上げる・・窓に薄く3Dのシールがある
テーブル席はコンクリートブロックの上に大きな天板が置かれているだけのものですが、広く空間を使っていて開放感がありますし、(外国人向けの家具なのでしょうか?)ソファも大きめで座り心地もゆったりとしています。会話を邪魔しない程度にロックなどがかかっていて、いい雰囲気の隠れ家的なバーです。

お店の場所は生田新道とトアロードとの交差点からトアロードを海側へ、一つ目の路地をトアウエスト方面に曲がって、突き当たりを右へ、またすぐ左へ曲がり、すぐのところ(青柳ビルという古いビルの2階です)・・・・と、なかなか分かりにくいと思います。僕の説明が下手なのですが、わざとわかりにくい謎めいた存在でありたいようでもあります。
おつまみにはココナッツスライスをお勧めします。
お店の電話は TEL:078-321-5828 です。
「トアロードでは食べ物屋は美味しくないとはやらない」
これはある雑誌の編集者の言葉です。三ノ宮の中心から少し離れたところに位置するからでしょうか?
確かに味と個性のお店が多いように思います。
「トアロード」・・・この名前の由来は諸説あるようですが、トアロードを上りきったところにあった東亜(トーア)ホテルに由来するというのが有力な説のようです(弓倉恒男著「神戸トアロード物語」より)。
トアロードに半世紀以上住んでおられる方は「バカもん!トアホテルからに間違いない!!!」と断言されました。
とても神戸らしい名前だと思います。
大正から昭和にかけて活躍した作家稲垣足穂(いながき たるほ)は、由来がはっきりしないこの路について「・・(トアロードという)名前をつけた彼はとてもよい感覚の持主であったことを想像させる」(緑の蔭―英国的断片「タルホ神戸年代記」より)と記しています。ここでいう「彼」が誰なのか、誰にもわからないのがまたなんともいいですね。たぶん特定の誰でもない、この坂を行きかった人たちなのでしょう。
(因みに稲垣足穂の代表作は「1千一秒物語」という作品のようです。このブログは「千話一夜物語」です。「千」と「1秒」か、「千」と「一夜」か、なんとなく近い感じがしますが、実は足穂先生をよく知りません。)
トアロードは北野町に住んだ外国人が旧居留地のオフィスに通った通勤路で、パン屋、洋服の仕立て屋など、西洋の生活文化がいち早く日本で根付いた場所です。
昔の神戸のお洒落はオートクチュールだったと聞きました。ネクタイ、背広、シャツ、靴などそれぞれの専門店で自分流にそろえることで、感性が磨かれていったようです。トアロードは神戸のお洒落を発信した場所のひとつで、「マキシン」など全国的に知られた老舗帽子屋さんが今も営業されています。
前にも書きましたが、華僑の人たちにとっては三刃(サンパ)といって、三つの刃(包丁=中華料理、ハサミ=仕立て屋、カミソリ=床屋)のどれかを身に着ければ食べて行くことができる、という伝説が生まれた場所でもあると聞きました。

写真:青柳ビル入り口の目立たない看板
個人的なことながらトアロード周辺で飲み会があると2軒目は『木馬』でバナナジュースを飲むか、BAR『3D(スリーディ)』でもう少しアルコールを補給するかが自分流のコースになっています。

写真:バー3D 青柳ビル入り口
3Dのマスター小川さんは以前紹介したバー「DEEP」のオーナーだった方です。工事現場のような薄暗く細い通路の向うに桃色の霧がたちこめたクールな空間を演出した人のことだけあって、3Dもなかなか非日常の空間です。古いビルの2階にあるのですが、お店の看板は目立たないように入り口の端っこにあります。階段を上って行くと迷路というか、無機質な通路が無性に長く感じられて、この奥にお店があるのかどうか少し不安になります。

写真:路地から怪しい窓を見上げる・・窓に薄く3Dのシールがある
テーブル席はコンクリートブロックの上に大きな天板が置かれているだけのものですが、広く空間を使っていて開放感がありますし、(外国人向けの家具なのでしょうか?)ソファも大きめで座り心地もゆったりとしています。会話を邪魔しない程度にロックなどがかかっていて、いい雰囲気の隠れ家的なバーです。

お店の場所は生田新道とトアロードとの交差点からトアロードを海側へ、一つ目の路地をトアウエスト方面に曲がって、突き当たりを右へ、またすぐ左へ曲がり、すぐのところ(青柳ビルという古いビルの2階です)・・・・と、なかなか分かりにくいと思います。僕の説明が下手なのですが、わざとわかりにくい謎めいた存在でありたいようでもあります。
おつまみにはココナッツスライスをお勧めします。
お店の電話は TEL:078-321-5828 です。
Posted by alterna at
17:42
│Comments(3)