2009年01月26日
第五十三夜 僕らはロックで大人になった
新年1月5日からNHK(BS)で「僕らはロックで大人になった」というブリテッシュロックの特集番組が7日連続で放映されていました。ロックンロールは1950年代から出てきていたと思いますが、番組ではロックンロールとロックは区別されていて、1965年をロック元年として構成されていました。
ブリテッシュロックの形成に大きな影響を与えたのが、人種差別からくる抑圧された感情ややるせなさを背景にもったアメリカのブルース(ジョン・リー・フッカーなど)で、それがイギリスの労働者階級の若者にあったやり場のない感情に共鳴していったようです(プレスリーなども大きな影響を及ぼしたと思いますが・・・)。イギリスでは大学に進学する若者は1割程度で、残りのほとんどが労働者階級としての人生を歩むというような時代です。
うまく説明できませんが、単なるビートの効いたテンポのいい歌ではなく、社会の不満や抑圧された感情のはけ口を求めるような音楽・・・現状を打ち破っていくエネルギーを持っている音楽を、番組ではロックと位置づけていたように思います。インタビューを受けていたTHE☆WHOのロジャー・ダルトリーは『あなたの夢は?という問いかけに、自分をうまく表現できず「うるせえ!」「知るか!」といった反応しかできない若者達の思いを表現しようとした』と語っていました。
だから愛と平和をテーマにしたビートルズやハーマンズ・ハーミッツなどは番組に取り上げられず、THE☆WHO、ローリングストーンズ、ピンク・フロイド、デビット・ボーイ、ヤードバーズ、クリーム、ブラックサバス、ディープ・パープルなどが初期のロック、アートロック、ヘビーメタルなどとして紹介されていました。
1960年頃までの音楽市場はほとんどがアメリカ発だったのに対して、ブリティシュロックは音楽輸出国アメリカを逆に席巻することになり、イギリスにとっては音楽ビジネスの大きなうねりとなっていったようです。そしてロックとビジネス、両者は接近と反発を繰り返しながらも、既成のものに挑戦していくというロックの精神は今日に受け継がれているというように編集されていました。
写真:懐かしいLPアルバム1
なぜか1年ほど前から10代の頃のロックが気になっていて、THE☆WHOを聴いて懐かしさが一気に戻り、今ではLPレコードにはまり込んでいる(ロック、R&B、ジャズ、ポップスなど幅広く聴いていますが)ところに、今回の番組が放送されました。それぞれの音楽の聴き方があるので、僕にとってはビートルズなども貴重な自分自身の存在した証しであることに変りないのですが、ひとつの捉え方として興味深く観させてもらいました。
写真:懐かしいLPアルバム2
WHOの若々しいロックを聴いていると「もう一度気持ちを新しく持っていろいろなことに関われ」と見えない何かが嗜めてくれているようにも感じます。たぶん偶然なのでしょうが、貴重な出会いになったと思います。
写真:懐かしいLPアルバム3
Posted by alterna at 11:39│Comments(0)