2009年05月01日

第五十八夜 元町の手打そば処『卓』

 
 上方落語が好きでよく聴いています。

 大阪の大川で旦那衆の釣りに付きあっていた太鼓持ち(お座敷で場を盛り上げる専門役)の男が
ガイコツを釣りあげます。不憫なので供養したところ、川に身を投げた美しい女性の幽霊がお礼に現れ一晩楽しく過ごします。
 これを知った隣に住む男が真似をして、中洲に半分埋もれた骨をもって帰って
供養して待っていると、お礼に現れたのは京都三条川原で首を切られて処刑された
大泥棒「石川五右衛門」だったという話しは、関西では『骨釣り』と言われ、関東では『野ざらし』と
いうそうです。名前の付け方が関東は物語りを予感させるような粋さがあるのに比べると、
関西は骨を釣ったという“そのまま”という感じです。

 年末にその年の厄を払って回る『厄払い』という話しのなかで、厄払いをさせてもらうために
家々を訪ねるときに唱える言葉でも、関東では「おん厄払いましょ、厄落とし・・」と
粋な文句で唱えられるようですが、関西ではただ「厄払いまひょ」というだけです。
なんの工夫もない“そのまま”ですが、なんとなく親近感を感じます。



 「そばっつってったら黒そばですよ!!!
 なんつったってそばは黒でないとソバとは言わねぇんです・・・・
 関西の白そばってのはですね・・私に言わせりゃ・・邪道なんスよ・・エエ」


 鼻息荒くこう言われたのは江戸っ子の敏腕記者です。
 やはり関東の言葉というのはどこか歯切れがよくて粋な感じがします。
そばをかっこよく食べるには江戸っ子らしく歯切れよくしゃべらないといけないのかもしれない・・・
という気持ちにもなりかけました。

 関西はうどんで関東はそばということをよく耳にしますが、そばに白と黒があることすら
知りませんでした。
そのそば好きの記者殿をお連れしたお店が元町のそば処「卓(たく)」さんです。
 どんな反応が返ってくるのか楽しみでしたが、記者殿は無言で食べ続けられました・・・
そして、お代わりをされました。一杯でも結構腹が膨れるのに、2杯を一気でした。
 「うまいっ!」という感想が聞こえました。
 食されたのは、とろろのかかった黒そばでした。

第五十八夜 元町の手打そば処『卓』
写真:そば処「卓(たく)」の外観


 お茶代わりに出てきたそば湯をすすりながら、そばの実が入ったモロミや
そば湯で割った焼酎などを注文しましたが、どれもGOODでした。
 このお店も元町のMR酔っ払いの吉田先生に教えてもらったところです。
 先生の行くお店はどこも個性的で、「安くてうまい」「居心地がよい」「室内空間がおしゃれ」など
共通点があるように思います。

 お店は元町商店街を西へ、元町通り4丁目の真ん中の路地を山側に少し上がったところです
(以前に紹介したプチ・レストラン『猫熊矢』さんの少し北側)。
 僕はオロシそばが気に入っています。そば好きの方でまだの方は是非一度試してください。




Posted by alterna at 17:36│Comments(0)
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。