2008年02月08日

第三十三夜 「雪の日の来客」

2月3日の節分の日、神戸市北区は朝から雪でした。午後まで降りましたから一面うっすらと雪景色です。母親から聞いたことですが、秋にお茶の花が多く咲く年は寒い冬になるということです。昨年の秋はどうかというと、一杯花をつけていたようです。ただ、12月は暖かかったから、あまり当てにならないなと思っていましたが、1月をみると昔の人の言うことも捨てたものではないなとも思います。



子供の頃は兵庫県の山奥にいました。実感として今よりもずっと寒くて、冬はつららや霜柱が毎日見られました。まだ、茅葺きの家もあって、つららは瓦屋根よりも茅葺き屋根の方が長いのができていたのを覚えています。雪は子供の膝くらいまで毎年何回か降りました。長靴のなかに入った雪で靴下がびしょびしょになった記憶があります。

休日に雪が降ると少し楽しい光景にお目にかかることができました。積もった雪の間に地面が覗いているところなどがあると、小鳥がよく舞い降りてきて、落ちている植物の種などを捜すのです。
一計を案じて、地面が見えているところにお米やぬかを撒きます。そのエサの上に竹で編んだ大きなカゴを、片方につっかい棒をして立てます。そのつっかい棒には紐が結んであって、少し離れた家の影でその紐の先を持っているのです。小鳥がカゴの奥のほうに入ったのを見計らって紐を引っ張るとカゴがパタリと地面にかぶさり、小鳥を生け捕りにすることができるというわけです。
一度だけやってみましたが、結果は少しほろ苦いものでした。
紐をピンと張っていなかったのが原因で、紐が地面をすれる大きな音がしてしまい、驚いた小鳥はカゴが地面にかぶさる前に飛び立ちました。一番奥にいた雀が一羽逃げ遅れてカゴと地面に挟まれて死んでしまいました。子供心に悪いことをしたという意識が今も残っています。



そんなことを思い出しながら今年の雪を眺めていて、ひとつ罪滅ぼしにおもてなしでもしょうと思い立ちました。みかんを二つに切って、最初は鉢植え(これは京都の貴船川に自生していた楓で、15年くらい前にコーラのビンに入れてもって帰ってきたものです)に、その次にベランダに置いてみました。少し時間をおいてからそおっと見てみると、写真のメジロ(名前の通り目の周りが白いです)君がつついていました。そして2枚目の写真を撮ろうとしたら一声鳴いて飛んでいってしまいました。
雪の日の小さな出来事です。



小鳥のことで、もうひとつよく覚えているのは、部屋でビートルズのレコードを聴いていたときに一羽のヤマガラが飛んできて、物干し竿にとまって音楽と一緒に歌うことがありました。ときには部屋のなかに入ろうとガラスに向って何度か飛んできました。今もよく覚えています。これも30年以上前の出来事です。ビートルズフアンのヤマガラ君はさすがにもう天寿をまっとうしているでしょうね・・・・  


Posted by alterna at 10:19Comments(0)