2008年09月26日

第四十八夜 『SORI』と『楽園』・・使われたものの魅力

 どちらも「ちょっとむかし」を売っているお店の名前です。
 元町の高架下や乙仲通周辺には古着や昭和レトロの店も結構あるので、僕のように古いものや使われたものに魅力を感じる者には休日などでも歩いていて飽きない場所です。
最近はLPレコードのジャケットがかっこよく思えてきて、元町高架下をぶらぶらしながら懐かしいアルバムを見て回っています。中学・高校の頃のLPレコードは当時2500円くらいでしたが、生徒の身にはなかなか手が出ないので欲しいものをしぼりにしぼって買っていました。30年あまりを経て、自分の中に「懐かしい」「あの頃これ欲しかったな」という感覚がこみ上げてきています。
流行は30年くらいを周期に、年配には「懐かしい」、若い人には「初めてで新鮮」という感覚が重なって二つの世代に指示され、今風に復活するということを聞いたことがあります。時代を反映したよいものはその時代を超えていく力があるということだと思います。つい最近は『DEEP PURPLE』の名アルバム『マシンヘッド』を480円で購入しました。

古いものは同じ品物があるわけではありませんから、スタイル、柄、大きさなどその瞬間の偶然の出会いがすべてです。悩んで次にいくと「もうない」ということもよくあります。誰に勧められるのでもなく自分で品物を探し出して、自分流にコーディネートしていくのはある意味で冒険ではありますが、どういう風に使おうかと考えることで感性は少しずつ磨かれていくように思います。



写真:「sori」 公衆電話手前が入り口 

 古道具『SORI』さんは地下鉄海岸線「みなと元町駅」西口を出て海側へ、三井住友銀行の角をさらに南へすぐ(栄町通4丁目2-1山本ビル201)の古いビルの2階にあります。このブログを開設されているKO-COさんのスタッフの方に教えてもらったお店で、衣類よりは古道具・昭和雑貨のお店です。色々なものがこじんまりとした空間に並べられていますが、いわゆる骨董屋という感じではなく、お客の年代も20代から30代が多いと思います。
 いつも不思議に思うことは、こういう店に来る人はどこをどう伝って、誰から聞いてお店を知るのか、ということです。マスターが外出中でドアが施錠されているときでも、帰って来るまでドアの外に若い女性が待っていることがあります。なにがどうして人をひきつけるのか不思議ですが・・・僕のような古いもの好きと同じような感覚の人が世の中に結構いるということでしょうね。お店に並べられている古いドアノブなども普段は気が付きませんが、改めて見るとなかなかいい味があります。





写真:「楽園」入り口

 古着ルネッサンス『楽園』さんは文字通り古着中心ですが、年代もののトランク、テーブル、ボンボン時計などもあって、しかも雑貨などは比較的短期間で入れ替わります。このお店は若いスタッフばかりで、20代とおぼしきある女性スタッフなどは目が利くというか、品物のもっている面白さ(値打ち)の見当がつくようです。こういう能力は古いものへの興味と経験で磨かれるものなので、将来はなかなかの目利きになるかもしれません。
 今の時代は骨董屋でやっていこうとするのはなかなか大変です。高価なものはやはり確かな筋のお店で実際に物を見て買うというやり方は変らないでしょうが、ちょっとしたものならヤフーなどのオークションで簡単に、しかも案外安く手に入ることがあります。お店を構えて古いものを扱うには品揃えのセンス・・他ではなかなか手に入らないユニークなものという・・が必要になります。


写真:「楽園」歩道にある看板

楽園さんはいわゆる骨董屋ではなく、また、いわゆるリサイクルショップでもなく、古着・家具・小物など同時代性・物語性をもったライフスタイル商品を揃えられているところが、面白いと思います。
半年ほど前に30分くらい悩んだ末に買わなかった古い卓上据付型の鉛筆削り(初めて見た形でした)は数日後にはもうありませんでした。縁が無かったということですが、今も心残りです。
 お店は『SORI』さんから少し西へ。元町通り5丁目1-10日綿ビル1階で、栄町通りに面しています。
  


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2008年09月11日

第四十七夜 家庭料理『まんま』

ちょっとお勧めしたい味があります。
 骨まで食べられる秋刀魚の煮物なのですが、これが結構いけます。僕は一流料亭の秋刀魚の煮物がどのようなものかは知りませんが、手ごろな値段で新鮮素材を使ったおいしい煮魚が食べられる家庭料理の店は貴重だと思います。チェーン店にはなかなかない味です。
 この秋刀魚君とは最近できた『まんま』という家庭料理のお店で出合ったのですが、身はやわらかすぎず、骨はやわらかく・・・と、どうやって作るのかわかりませんが、僕が参加する酔いながら花を生ける会(華に酔う会)のメンバー(みんな仕事がバラバラで、どうやってこれだけ色々な人が集まったのか今もよく分からない不思議な人たち)も絶賛です。
 

写真:『まんま』 入り口


 お盆頃の14日に行ったところ、『盆休み(14日~17日)』と壁に書いてあるのに開いています。女将さんは当初通り閉めている予定だったようですが、「今からいくから開け」と言ってきた人がいたらしく・・・結局開けたようです。店員の子も出てきていました。お盆で市場に新鮮な素材が少なく「秋刀魚」はありませんでしたが、代わりに出てきた「鰯」の刺身が新鮮で好評でした。
 閉める予定のお店の戸をこじ開けたのは「元町のMr酔っ払い」の吉田先生でした。
 吉田先生は『華に酔う会』を立上げ、わけのわからないメンバーを集めた人です。来るもの拒まず、去るもの追わず・・・という泰然とした運営がいいのでしょうか。月に1回の会合ですが、来れる人が来て、酔いにまかせて思い思いにお花を生けていて、結構楽しくやっています。なぜかしら居心地がよい不思議な集団です。
休業日をこじ開けられたお店の女将さんも嫌な気はしていない様子でした。

 『まんま』ではカウンターに大きな鉢が置いてあって、いろいろな煮物が入っています。それを見ながら好きなのを選べるのが少し昔風な感じがして、また、家庭料理の雰囲気があって気に入っています。大きな鉢にはっているとおいしそうに見えるからこれも不思議です。
 秋刀魚の煮物は手間がかかるらしくいつもあるわけではないようです。注文して出てくれば「ラッキー」な日かもしれません。

 
写真:『まんま』のおもしろいディスプレイ


 お店の場所は阪神元町駅西改札口を南京町方面に出て、一つ目の交差点(パチンコ屋の角)を西(神戸駅方面)へ少し歩いたところです。
  


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2008年09月04日

第四十六夜 還暦お祝いジャズライブ

神戸は日本で最初にプロのジャズバンドが結成(大正12年の「井田一郎とラッフイングスターズ」)された街で「日本のジャズ発祥の街」と称されています。
戦前のダンス文化を支えた音楽から戦後の進駐軍(ウエストキャンプ近くの「キャスバ」というBARを介して流出したレコードなど)が流布したアメリカ音楽、そして1950年代頃からのジャズ喫茶やライブハウス、そしてジャズストリート、スチューデント・ジャズフェスティバル、神戸ジャズウォーク、神戸空港でのジャズライブなど様々なジャズイベントへと神戸のジャズシーンも時代とともに変化してきていますが、その根底にはアマチュアジャズフアンの分厚い層があって、時代を超えてジャズを支えてきています。楽しみ方もひたすら聴くというものではなく、会場も舞台も一緒になって盛り上がるところに神戸ジャズの特徴があるようです。

2008年8月24日午後2時。60年前のこの日に生まれた御仁の還暦祝いジャズライブが元町の「ジャスト イン タイム」でありました。神戸のジャズシーンの舞台裏を支えてこられたその御仁こそ「会社の地域貢献の一環として神戸の音楽文化を支える」と位置づけて支援されている富士通テン㈱の高谷政義さんです。


写真:高谷さん還暦記念ジャズライブ

「You are my sunshine」・・・
神戸を中心に歌い続けているジャズボーカリスト北荘桂子さんのMCと歌を中心とした還暦記念ジャズライブは暖かい拍手のなかで始まり、なごやかな雰囲気のうちに終わりました。会社の同僚の人たちもあの手この手で高谷さんの人柄の紹介を工夫されていましたし、普段は表に出ない磯田マスターまでマイクを取ってしゃべっていました。
長井美恵子さん(ピアノ)、三原修さん(ベース)、光田臣さん(ドラム)のピアノトリオに加えて、お祝いに駆けつけた仲間のピアニスト、ベーシスト、ボーカリストたちも次々と入れ替わりでセッションに加わり、音楽を通じて自然に人が集まり打ち解けるような和みを感じるお祝いライブでした。
高谷さんこれからもお元気で!!


写真:特製ケーキ入刀  


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