2007年06月22日

元町いまはむかし

元町いまはむかし









写真
「大丸神戸店・・トアロード側」


シンガーソングライター増田俊郎さんの作品に「フェンスの向こうのアメリカ」という曲があり、
僕の学生時代だから・・・今から27・8年くらい前でしょうか?・・
柳ジョージ&レイニーウッドが歌ってました。名曲だと今も思っています。
 その一節に「白いハローの子に追われて 逃げてきたPXから」という件りがあります。
終戦直後の横浜の米軍基地辺りが舞台だと思います。
PXとはアメリカ駐留軍(いわゆる進駐軍)専門のスーパーマーケットのことで、
敗戦国の日本の子供たちがものほしそうにガラス越しにPXの中を見ていると、ハローという言葉で
あいさつを交わす白い肌の子供たちが「ヤーイ、ヤーイ」と囃したてて追っかけてくる。
そんな情景がこの詞から浮かんできます。

神戸にもPXはありました。今の大丸神戸店の1階がそうだったようです。
これはおしゃれな彫刻家から聞いた話ですが、
『小学生の頃(終戦当時)、障子戸などの下についているローラーを打ち付けた板切れ
(スケートボードを想像してください)で、トアロードの坂を下っていくような遊びをしていた。
坂の終点には大丸があり、PXには色とりどりの包み紙にくるまれたチョコレートやキャンデーなどが
あふれるようにあった。』

ガラス越しにあったのは敗戦国日本ではなく、豊かで、おしゃれで、
眩しいくらいにかっこいいアメリカでした。

『PXの前には、シボレーやフォードなどの大きなオープンカーが止まっていて、袋一杯に買い物を
したアメリカ人の女性たちが進駐軍の将校と乗り込んで帰っていくのをよくみかけた。
「ヘイ!ボーイ」
運がよければ、そんな言葉とともに米兵がチューインガムやチョコレートを投げてくれた。
そりゃ戦争に負けるわ』・・と。

戦前戦後を通じて、神戸の大丸周辺は時代の変化に向かい合う最先端の「場所」でした。
内側に異国(異文化、多様性)をもつ街には個性的な文化が育ちます。戦前には内なる西洋、
戦後では内なるアメリカをもっていた神戸には異国情緒、モダニズムといった
今の街のもつイメージが形成されていきました。そして多くのアーティストが活躍しました。

(これを書き始めると長くなるので、このつづきはまたの機会に)


Posted by alterna at 21:14│Comments(0)
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