2007年07月24日

第八夜  55.5°

この数字は何だと思いますか?
地球上で確認された最高気温のことではありません。
すぐにわかった方は相当にマニアックな方です。敬意を込めて「達人」の称号を贈りたいと思います。


写真:三宮にあった頃の55.5°

これは神戸市内にあった彫刻の名前です。
 場所は現在建設工事が進んでいる三宮の播州信用金庫神戸本部の西側で三宮中央通駐車場出入口付近(以前あった東京銀行神戸支店前広場)だったと思います。
 作者は山口牧生さん。
大阪は能勢の石切り場で産出する石と向かい合った作家です。
 環境造形Qというグループ(小林陸一郎、増田正和、山口牧生)で活躍もされました。Qの仕事としてはメリケンパークの映画の碑、ポートアイランド北公園のイルカの作品などがあります。
 
 実は神戸市は彫刻の街として有名です。市内には450を超える野外彫刻があります。「55.5°」もそのひとつで、竜の舌のような赤黒い能勢石(黒御影石)が55.5°の角度で南方上空に向かって突き出ていました。
この作品・・・この角度に意味があります。

春分と秋分の日の年2回、南中した太陽の高度とピタリと合わさり、作品の影がなくなるのです。1年に2回だけ無言で時を告げる日時計なのです。
 地球と太陽の位置からくる自然のリズムと日本という場所に住む私たちの生活のリズムが、力のある作家のひらめきと技術によって芸術作品に凝集されています。
 
 残念ながら作品は阪神大震災の頃に三宮からなくなりました。
山口先生も今は鬼籍の人です。
でも作品の記憶はいつまでも残像として残っています。
元町画廊には山口先生の作品が数点展示してあったと思います。

なお、その後「55.5度」は移転されていたことが分かりました。
今回何気に検索してみると、垂水区にあるベルデ名谷1番館南西側にあることがわかりました。
懐かしい人に出会った気分です。

以下のホームページで神戸の野外彫刻を紹介されている方がいます。
非常に労力のかかる作業だと思います。
http://www.rokko.gr.jp/~icchan2/7taru/7210.htm
  


Posted by alterna at 16:42Comments(0)